2017年5大事務所のパートナートラック -1-

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~企業取引拡大と法曹人口増加時代の5大事務所~

ジュリナビは、これまで日本の主要企業を代理する5大事務所の組織構造をパートナーとアソシエイトの人員構成を調査することで分析しようとしてきました。

国内のリーガルマーケットは世界の主要国と比較し閉鎖的であり、法律事務所の情報開示は質量とも法律サービスの利用者にとって満足のいくものでありません。特に、現在リーガルマーケットで主な業務領域のひとつである企業取引を取り扱う法律事務所の情報は不足しています。

そこで、法律事務所の中でこうした企業取引を主に取り扱っており、かつ、その情報が比較的公になっている5大事務所の情報を収集し、分析してみることとしました。一般的に法律事務所について公の情報は、自己宣伝であったり提灯記事的なものであったりして、そこから客観的に国内のリーガルマーケットを理解することは難しく、また、公になっている限られた情報で実態を解明するには程遠いものですが、法律サービス利用者にひとつの見方を提示できるのではないかと考えています。

5大事務所の組織構造は、司法制度改革に伴う法曹人口増加をひとつの契機として大きく変化してきてきたと考えられます。それまでの国内の法曹人材供給レベルでは、主要企業の法的ニーズに応じるための国際レベルの専門化、分業化の進んだ組織体制を作ることは、中々難しいものでした。

法曹人口増加(新司法試験制度)へと舵が切られてから約10年を経過しましたが、その間に世界的にリーガルマーケットの縮小を生んだリーマンショックがありました。この時期はどの事務所も採用数を大きく減少させましたが、「5大事務所のパートナー及びアソシエイトの期別人員構成図」で明らかなように、法曹人口増で供給された若手弁護士を多数採用しながら5大事務所は組織を拡大してきたことが見えてきます。更に、この間にTMI総合が組織拡大し、これまでの4大事務所に割って入ってたのは注目すべき点です。ジュリナビでは、それまで4大事務所としていたのを、2013年から5大事務所としました。

法律事務所の代表格ですが、おおむね順調に組織拡大を続けてきたと言えるようです。但し、西村あさひ、アンダーソン・毛利・友常と長島・大野・常松では2012年、2013年、2014年あたりに、全体の所属人数をアソシエイトの人数を減少させています(なお、パートナー数はいずれの事務所においても減らしていない)。

これに先立つ2011年には、リーマンショックの影響で5大事務所は一斉に新人弁護士採用数を大幅に抑えました。この調整に加え、2012年~2014年にかけてパートナー数を増さずアソシエイトの人員調整を行ったと思われます。一方、森・濱田松本(TMI総合については2013年以降のデータしかない)は、新人弁護士の採用数を抑えつつリーマンショック後も着実に組織拡大し続けたことがわかります。

リーマンショックの影響を受けつつも、司法制度改革の下の法曹人口増加により、5大事務所は過去10年間組織拡大を続けたことが明らかであり、5大事務所にとり法曹人口増加は大きなメリットであったと言えます。

こうした5大事務所の組織拡大を支えたもうひとつの要因には、国内の主要企業において企業法務ニーズが増加し続けてきていることがあります。法曹人口増加に舵が切られて以降、国内の組織内弁護士の数は約20倍近くに増加(2017年には組織内弁護士数は2,000名を超えた)してきており、更にその数が増加する勢いをみせています。その多くは、法律事務所からの転職者で占められており、今後、従来の企業法務と外部法律事務所(5大事務所も含め)との力関係が変化するきっかけになるのではないでしょうか。

今後4週に渡り、5大事務所の弁護士の所属状況について取りまとめた結果をご紹介して参ります。第1回目となる今回は「所属弁護士数の推移」「拠点別の所属状況」についてご紹介しますので、ご一読ください。

コンテンツ

-1- 所属弁護士数の推移、拠点別所属状況
-2- 新任パートナー情報、レバレッジ・レシオ(6/29~掲載予定)
-3- パートナー弁護士の属性、留学情報(7/6~掲載予定)
-4- アソシエイト弁護士の属性、新人採用状況(7/13~掲載予定)


(※注 本報告書は、ジュリナビ運営事務局の責任において公表されているデータを合理的な解釈をして作成されたものであります。各事務所の人員構成は、変動しており、公表の時点も方法も各事務所で異なりますので、その内容につき正確性を保証するものではありません。また、ここに記載された意見や見解はジュリナビ運営事務局によるものであり、許可なくデータを引用・転載することを禁じます。)

1.5大事務所所属弁護士数推移表

5大事務所の所属弁護士数推移

5大事務所のパートナー及びアソシエイトの期別人員構成図

 

2.2017年5大事務所の海外・国内展開

5大事務所も長年にわたり、東京以外の地方や海外に支店を設けることをしてきませんでした。しかし、クライアントの事業活動の変化や法律事務所間の競争の影響を受け、ようやく東京以外で業務拠点を設けるようになってきました。海外では日系企業の中国や東南アジアでの業務拡大に呼応し、一挙に支店網を広げてきています。

特に、森・濱田松本は、他の4事務所と異なりシンガポールでローカル業務を行える体制を作り上げようとしています。しかし、リーガルマーケット先進国である米国やEUでは、5大事務所の進出はほとんど進んでいませんし、英米、中国、豪州など海外大手事務所と比べ海外進出は極めて遅れています。

今後、海外で大きく事業機会を増やしていくためには現地法律事務所の買収や国際的法律事務所との提携や合併も有力な選択肢となってくるでしょう。しかし、そのためには、5大事務所において国際的なレベルでの事務所運営体制の整備や事務所カルチャーの共有化のノウハウなどが求められるでしょう。

5大事務所の拠点別所属弁護士割合

5大事務所の海外拠点別所属弁護士人数

(※外国法事務弁護士、外国弁護士含む)

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出典・免責事項・引用・転載等について

  1. 本調査は、2017年4月時点の日本弁護士連合会等の公表データをもとに作成しています。
  2. 本調査はできるだけ正確性を保つよう合理的な努力をしましたが、所属弁護士数は日々変動し、かつ異動情報がタイムリーに日本弁護士連合会に提供されるとは限らないため、調査結果についてジュリナビとして完全性、正確性を保証するものではありません。
  3. 本調査に記載されたコメントはジュリナビ自身の見解であり、法科大学院協会や各法科大学院の見解とは一切関係はありません。
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