ジュリナビは、全国の企業・官公庁・地方公共団体・その他団体に所属するインハウスローヤー(組織内弁護士)の所属数を調査し(2017年1月時点)、以下の通りまとめました。
企業は、金融、商社が特に弁護士の採用に積極的で、続いて大手通信キャリア、大手メーカーなどが毎年継続的に新卒弁護士の採用を進めています。この数年、上場企業を中心に、グローバル化対応、社内コンプライアンス・ガバナンス整備、契約法務の内製化などのために業界・業種を問わず、弁護士・法務人材へのニーズが高まっており、その流れは今後も続いていきそうです。また、上場企業のグループ会社、中小企業、外資系企業の日本法人などにも、1人目の弁護士採用が広がりを見せており、今後、法務組織を整備、拡充していこうとする動きが感じられます。
内訳を見てみると、2017年1月調査時点で1,985名だったインハウスローヤーのうち、1,755名が企業に在籍していますが、うち50期以前の弁護士の割合は約25%、60期以降の法科大学院修了生の弁護士が約75%となっており、若手弁護士がインハウスローヤーの大半を占めています。
ある程度法務組織の基盤のある、または既に弁護士がいる企業は、法務組織の拡充のために新卒や60期代の若手弁護士を採用するケースがよく見られます。まだ、弁護士がいない、あるいはこれから法務組織を立ち上げようとする企業の場合は、現在の法務担当者のサポート、将来の法務組織を引っ張っていく人材として若手弁護士を採用したり、今すぐ法務組織のトップとして50期以前のベテラン弁護士を中途採用したり、様々なケースがあります。
官公庁では、任期付公務員として所属していることが多く、3~5年程度の業務を経て、元の所属先に復帰したり、官公庁での経験を活かして別業種に転職するケースなど様々です。一方、地方公共団体では、官公庁と同じく任期付公務員として所属している自治体も多いですが、近年では、行政における法務対応のために、明石市役所のように積極的に弁護士を採用している自治体も見られるようになってきました。
近年では、弁護士の就業先の多様化が進み、特にワーク・ライフ・バランスを検討する女性弁護士を中心にインハウスローヤーになる弁護士も増えていますが、合格者が1,500名台まで絞り込まれる来年の70期において、新卒のインハウスローヤーがどこまでシェアを広げるか、要注目です。
また、今年も全国法律事務所ランキングを調査し、掲載しましたので、是非こちらもご覧ください。「2017年全国法律事務所ランキング200」
<ジュリナビ 2017年全国インハウスローヤーランキング200>
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- 本調査は、2017年1月現在の日本弁護士連合会等の公表データをもとに作成しています。
- 本調査はできるだけ正確性を保つよう合理的な努力をしましたが、所属弁護士数は日々変動し、かつ異動情報がタイムリーに日本弁護士連合会に提供されるとは限らないため、調査結果についてジュリナビとして完全性、正確性を保証するものではありません。
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