TOP50法律事務所成長力分析 -1-

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ジュリナビは、2012年以来、わが国の所属弁護士数上位200事務所ランキングを毎年行っている。閉鎖的で変化の乏しいわが国の弁護士業界だが、2004年法科大学院制度導入後の法曹人口の増加は、確実にこの業界に市場圧力を与え、影響し始めている。ほとんど進まなかった法曹界の垣根を超えた企業法務や行政分野への法曹人材の流入も進み始め、既存の弁護士業界にも影響を与えている。

しかし、社会に対し情報開示のない弁護士業界につき外からこうした内情を一般人が知るのは困難である。リーガルサービス利用者や就職を検討する修了生からは、法律事務所やリーガルマーケットについて客観的事実の裏付けのある情報や信頼性の高い情報が求められるようになってきている。法律業務先進国の米国では、80年代以降、法律事務所を含め弁護士業界にかかわる様々な情報が豊富に市場に出回るようになり始めた。わが国の弁護士業界の情報開示の現状は、米国に遅れること約30年といったところである。
そこで、ジュリナビとしてこれまでに上位200事務所ランキングで収集したデータをもとに過去5年間を振り返りわが国の中上位規模の法律事務所の成長を分析して、社会に開示してみることとした。もちろんジュリナビが入手できる弁護士業界に関する公開情報は限られているが、経年的に蓄積した法律事務所の公開情報をいくつかの切り口で分析することで弁護士業界のあり姿をいくらか明らかにすることは可能である。

ジュリナビ法律事務所ランキングは、上位200事務所を対象としているが、今回の分析対象としてはあえて上位50事務所に絞った。わが国の弁護士業界の現状では、上位200位といっても国際的にみて組織的運営されているというより個人経営の事務所に近いものも多く含まれてしまい、規模があまりに小さくリーガルマーケット変化の客観的分析対象として必ずしも適切ではないと考えられる。
また、この上位50事務所をその特性ごとに大きく5つのカテゴリーに分け、それぞれの特性の集団ごとにこの5年間の動きを追ってみた。わが国では上位50事務所と言っても英米のマーケットとは異なり、その業務内容や顧客層は必ずしも一致していない。単純な比較は誤解を生むのであり、できるだけ同種の事務所まとめて比較することとした。

特に、この5年間に的を絞ったのは、①司法制度改革の下、法科大学院からこれまでにない毎年2,000名規模の法曹人材の供給が続き、更に、彼らが、実務経験を積み、わが国の法曹人材の中核を形作るようになってきた時期がこの5年間である。こうした新しい母集団である彼らの実務での活動が、こうした上位50事務所の組織変化にも反映していると推測されるからである。ちなみにこの5年間では上位50事務所の所属弁護士数増加率の平均は、約24.8%で、全国レベルでは約22.9%であった。

また、②リーマンショックは、世界的規模でリーガルマーケットにも影響を与え、業務の停滞と縮小を生んだ。更に、世界的に見てリーマンショックを契機にリーガルサービスの最大需要家の企業がリーガルコスト削減(特に外部弁護士費用)に走り、法律事務所の選別を強化したため法律事務所間の競争が激しくなった。わが国でもこの傾向は及んだが、ようやく景気がリーマンショックから回復し、リーガルマーケットも復調してきたのがこの5年間である。こうした波に乗って業務拡大してきている事務所と回復しきれない事務所との差も大きくなっており、こうした変化も認められるのがこの5年間である。

I 所属弁護士総数・順位の推移

1. 5大事務所の変化

この5年間で顕著な変化は、これまで4大事務所と呼ばれた西村あさひ、アンダーソン・毛利・友常、長島・大野・常松、森・濱田松本の集団にTMI総合が急速に組織拡大し、第3位の位置まで食い込んできたということであろう。TMI総合のこの5年間の所属弁護士数の増加率は57.7%に上り、5大事務所の中でも最大であった。4大事務所の寡占にようやく割り込むプレーヤーが出た訳だが変化の速度が遅い。
また、4大事務所で長らく4位であったアンダーソン・毛利・友常が、米国のビンガム・マカッチェンの破綻によってビンガム・坂井・三村・相澤の人員を吸収することで第2位の地位を確保したことが注目される。国際的な法律事務所の再編にわが国の法律事務所が巻き込まれた本格的な事例であったことも注目される。

<図表1 所属弁護士数推移(5大事務所)>

<図表2 5年間の増加率(5大事務所)>

法律事務所名 2012年から2017年までの
5年増加率
TMI総合法律事務所 57.7%
アンダーソン・毛利・友常法律事務所 32.8%
森・濱田松本法律事務所 21.9%
西村あさひ法律事務所 12.9%
長島・大野・常松法律事務所 12.5%

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