4. 新興系事務所の変化
閉塞状況が続いたわが国の弁護士業界であったが、法曹人口増加のもと新しい人材を活かし新興系事務所が成長し、規模別ランキングの上位に食い込み始めた。アディーレ、ベリーベスト、ALG & Associatesは、債務整理業務から派生し、全国展開し、更に業務範囲を広げることで拡大した事務所である。特に、ベリーベストの成長率は、50事務所の中で第1位の302.9%の伸び率であった。アディーレとベリーベストは、弁護士数でも上位10位内にランクインし、新人弁護士採用数でもいわゆる5大事務所と争うようになってきている。これら新興系事務所は、弁護士業界からは従来異端視されていたがその新しい業務形態は、社会に定着してきているようである。この3事務所のほか、名古屋地域の心、オーセンスや早稲田リーガルコモンズも新しい切り口で業務展開をしてきており、急速に成長してきている。わが国の弁護士業界の変化は、こうした新興系の法律事務所がけん引していくことになるのであろう。
<図表7 所属弁護士数推移(新興系事務所)>
<図表8 5年間の増加率(新興系事務所)>
法律事務所名 | 2012年から2017年までの 5年増加率 |
弁護士法人ベリーベスト法律事務所 | 302.9% |
弁護士法人法律事務所オーセンス | 240.0% |
弁護士法人アディーレ法律事務所 | 153.3% |
弁護士法人ALG&Associates | 150.0% |
弁護士法人心 | 144.4% |
早稲田リーガルコモンズ法律事務所 | 57.9%※2 |
(※2:2017年の2014年に対する増減)
5. 準大手・中堅事務所の変化
この他の上位50事務所で成長が注目されたのは、朝日中央綜合と虎ノ門法律経済の2事務所で100%以上の増加をしている。前述の新興系法律事務所に加えこれらが新しい形の法律事務所として成功し始めた。このほか、50%以上の増加を遂げたのは島田、愛知総合、岩田合同であった。これら5事務所以外の法律事務所は、いわゆる老舗や準大手と言われる事務所も含め、この5年間は、平均的な成長率以下であり、漸増か、ほとんど成長の見られなかった事務所が占めている。
<図表9 所属弁護士数推移(準大手・中堅事務所)>
<図表10 5年間の増加率(準大手・中堅事務所)>
法律事務所名 | 2012年から2017年までの 5年増加率 |
弁護士法人朝日中央綜合法律事務所 | 173.7% |
虎ノ門法律経済事務所 | 139.4% |
島田法律事務所 | 84.2% |
弁護士法人愛知総合法律事務所 | 52.4% |
岩田合同法律事務所 | 52.3% |
渥美坂井法律事務所・外国法共同事業 | 27.9% |
あさひ法律事務所 | 26.7% |
シティユーワ法律事務所 | 21.9% |
虎門中央法律事務所 | 19.4% |
桃尾・松尾・難波法律事務所 | 18.8% |
鳥飼総合法律事務所 | 13.6% |
阿部・井窪・片山法律事務所 | 10.8% |
東京丸の内法律事務所 | 5.0% |
田辺総合法律事務所 | 4.7% |
名古屋第一法律事務所 | 3.4% |
東京法律事務所 | 3.3% |
奧野総合法律事務所・外国法共同事業 | 2.7% |
牛島総合法律事務所 | 2.1% |
光和総合法律事務所 | 0.0% |
真和総合法律事務所 | 0.0% |
さくら共同法律事務所 | -3.0% |
弁護士法人瓜生・糸賀法律事務所 | -12.8% |
隼あすか法律事務所 | -13.6% |
次ページ「2017年TOP50事務所 60期代弁護士所属割合ランキング」
■関連コンテンツ
2017年全国法律事務所ランキング200
2017年全国インハウスローヤーランキング200
69期司法修習終了者の就職状況調査
出典・免責事項・引用・転載等について
- 本調査は、各年の日本弁護士連合会の弁護士登録情報ならびに過去の同登録情報や官報をもとに作成したジュリナビ調査データを参照し作成しています。
- 本調査はできるだけ正確性を保つよう合理的な努力をしましたが、所属弁護士数は日々変動し、かつ異動情報がタイムリーに日本弁護士連合会に提供されるとは限らないため、調査結果についてジュリナビとして完全性、正確性を保証するものではありません。
- 本調査に記載されたコメントはジュリナビ自身の見解であり、法科大学院協会や各法科大学院の見解とは一切関係はありません。
- 本調査に記載された調査、編集、分析された内容についてその一部又は全部につきジュリナビに無断で転載、掲載することを禁止させていただきます。