TOP50法律事務所成長力分析 -4-

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II 2017年TOP50事務所 60期代弁護士所属割合ランキング

それでは、法曹人口増加の核となっている若手60期以降の弁護士は上位50事務所でどのような使われ方をしているのであろうか。全国の弁護士のうち60期以降が占める割合は46.5%である一方、上位50事務所ではその割合は56.9%と高くなっている。東京を拠点とする事務所が多数であるのが上位50事務所で、弁護士登録数も東京に集中しているのでこの結果も理解できる。

<図表11 5大事務所>

法律事務所名 60期代の比率(2017年)
 長島・大野・常松法律事務所 61.4%
 森・濱田松本法律事務所 61.1%
 アンダーソン・毛利・友常法律事務所 57.9%
 西村あさひ法律事務所 56.8%
 TMI総合法律事務所 53.1%

ここで注目されるのは、TMI総合が60期代以降の若手弁護士割合が5大事務所の中で最も低いことである。TMI総合は過去5年間の人員伸び率が5大事務所中もっとも大きかったが、その増加は主に若手弁護士採用によるものではなかった。他の4事務所は法曹人口増加により生まれた若手弁護士を継続的に採用して組織を拡大してきたが、TMI総合はむしろパートナーや中堅弁護士の中途採用に頼ってきたと推測される。

<図表12 関西大手事務所>

法律事務所名 60期代の比率(2017年)
 北浜法律事務所・外国法共同事業 55.3%
 弁護士法人梅ヶ枝中央法律事務所 55.2%
 弁護士法人中央総合法律事務所 55.1%
 協和綜合法律事務所 51.7%
 弁護士法人御堂筋法律事務所 48.0%
 弁護士法人大江橋法律事務所 45.0%
 弁護士法人淀屋橋・山上合同 44.6%
 弁護士法人三宅法律事務所 39.5%
 きっかわ法律事務所 31.0%

関西大手事務所の若手弁護士割合は上位50事務所の平均とあまり異なることはなかった。

<図表13 外資系事務所>

法律事務所名 60期代の比率(2017年)
 クリフォードチャンス法律事務所外国法共同事業 60.0%
 外国法共同事業法律事務所リンクレーターズ 56.7%
 外国法共同事業・ジョーンズ・デイ法律事務所 41.3%
 ベーカー&マッケンジー法律事務所外国法共同事業 40.6%
 ホワイト&ケース法律事務所 31.7%
 伊藤見富法律事務所 26.0%
 スクワイヤ外国法共同事業法律事務所 12.9%

外資系事務所の過去5年間の低成長は、若手弁護士の採用が進まなかったことを示している。

<図表14 新興系事務所>

法律事務所名 60期代の比率(2017年)
 弁護士法人アディーレ法律事務所 98.4%
 弁護士法人心 97.7%
 早稲田リーガルコモンズ法律事務所 93.3%
 弁護士法人ベリーベスト法律事務所 91.5%
 弁護士法人ALG&Associates 88.3%
 弁護士法人法律事務所オーセンス 85.3%

新興系事務所の60期代以降の若手弁護士割合は、他の上位50事務所と比べ極めて高いのが特徴的である。これは、彼らの業務形態に起因すること、組織が少数の経営パートナーによりレバレッジの高い経営であること、若手弁護士の先進性などが理由であろう。法曹人口の増加がなければ、こうした新興系事務所は急速に発達しえなかったであろう。新興系事務所の全国展開による地方進出が、地元弁護士会との間で軋轢を生み、こうした地方弁護士会が法曹人口の増加に反対するという図式は、新興系事務所の弁護士年代を見るとその理由が納得できる。新興系事務所は、今後もわが国の弁護士業界変革の台風の目となっていくのかもしれない。

<図表15 準大手・中堅事務所>

法律事務所名 60期代の比率(2017年)
 弁護士法人朝日中央綜合法律事務所 92.3%
 弁護士法人愛知総合法律事務所 81.3%
 虎ノ門法律経済事務所 74.7%
 鳥飼総合法律事務所 70.0%
 岩田合同法律事務所 58.2%
 虎門中央法律事務所 56.8%
 シティユーワ法律事務所 48.9%
 島田法律事務所 48.6%
 奧野総合法律事務所・外国法共同事業 47.4%
 牛島総合法律事務所 45.8%
 あさひ法律事務所 44.7%
 渥美坂井法律事務所・外国法共同事業 43.6%
 名古屋第一法律事務所 43.3%
 桃尾・松尾・難波法律事務所 42.1%
 隼あすか法律事務所 42.1%
 弁護士法人瓜生・糸賀法律事務所 41.2%
 さくら共同法律事務所 40.6%
 東京丸の内法律事務所 33.3%
 光和総合法律事務所 30.8%
 阿部・井窪・片山法律事務所 29.3%
 真和総合法律事務所 27.6%
 東京法律事務所 25.8%
 田辺総合法律事務所 24.4%

準大手・中堅事務所においてもこの5年間で平均以上に組織を拡大した事務所では60期代以降の若手弁護士割合は高くなっている。一方過去5年間に成長できなかった事務所の若手弁護士割合は相対的に低くなっている。若手弁護士が少ないということはレバレッジレイシオが低くなり、収益性は低くなる傾向にあると一般的には言える。こうした観点からも若手弁護士比率は興味深いものである。

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