TOP50法律事務所成長力分析 -5-

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III 法律事務所成長率と若手弁護士割合の相関関係 ~弁護士業界の新旧世代間抗争~

ジュリナビは、上位50事務所の過去5年間の成長率=所属弁護士数増加割合を調査し、更に、その事務所の弁護士の年代構成を調査し、その相関関係を調べてみた。
司法制度改革の下の法曹人口の急激な増加は、わが国の弁護士業界で画期的な出来事であり、旧態然たる業界が、これによりどのような変化をしたのか?相関関係見ることはその分析の一つの切り口にはなると考えた。

<図表16 法律事務所5年成長率と60期代若手弁護士割合の相関関係>

(※2012年に対する2017年の弁護士増加率、2017年の60期代弁護士割合ともに下回る部分をグレーに塗っている)

興味深いことに過去5年間に急成長してきた法律事務所は、若手弁護士を最大限に活用してきている。相関関係グラフの右側にこうした事務所群が存在している。法曹人口増加の環境下、急成長した新興系と呼ぶ法律事務所は、おしなべて若手弁護士(60期代以降)の弁護士の割合が極めて高いことがわかる。業務の急速な拡大や新規法務ビジネス需要に対応するには若手弁護士の存在が必須であり、彼らがそのドライブファクターとなっていることがわかる。

同様に、新興系事務所に属さない歴史のある事務所のいくつかが、リーガルマーケットの変化に対応し、新しいビジネスモデルを作っていくことにより、着実に業務を拡大してきている。こうした事務所は、高い成長率とそれを支える若手弁護士採用で新興系事務所の集団に近い高成長と若年化の右上集団のところに分布している。

これら2つの集団の後には、法曹人口増加を利用し、国内や海外まで組織拡大を進めてきた5大事務所の集団がある。そもそも彼らの業界での地位は、確立し、成熟しているので新興系のほどの高い成長率は見られないが、それでも毎年多数の若手弁護士の採用を続け、着実な組織の伸びが見て取れる。

これら3つの成長集団と対照的なのは、外資系事務所、関西系一部事務所および新しい変化に的確に対応しきれていない老舗弁護士事務所で、低成長と高齢化の左下の集団を形成している。わが国のリーガルマーケットの成長力のなさに起因している外資系事務所の低成長は別として、上位50事務所の中でも低迷している事務所は、若手弁護士割合も低く、世代交代の遅れ、組織の新陳代謝の遅れが目立つようである。

法律業務にもAIなど新しいテクノロジーによる変革の波が訪れようとしている中、社会からのニーズの変化に敏感で、対応力のある若手弁護士の活用が、法律事務所の競争力に欠かせなくなると予想する。もっともわが国の大多数の法律事務所(大半は地方事務所や個人・小規模事務所)は、こうした動きと無縁に個人中心の旧来型のリーガルサービスの枠から出ることはなく存続していくのであろう。いわば、二極化が進んでいくのであろうが、新しい形の弁護士業務は、いやおうなく旧来型のリーガルサービスに影響を与えていくであろう。今回の相関関係調査の結果は、今後のわが国のリーガルマーケットの一つの方向を示しているのであろう。

<図表17 法律事務所成長率と若手弁護士割合の相関関係(5大事務所)>

法律事務所名 60期代の比率 5年増加率
 TMI総合法律事務所 53.1% 57.7%
 アンダーソン・毛利・友常法律事務所 57.9% 32.8%
 森・濱田松本法律事務所 61.1% 21.9%
 西村あさひ法律事務所 56.8% 12.9%
 長島・大野・常松法律事務所 61.4% 12.5%

<図表18 法律事務所成長率と若手弁護士割合の相関関係(関西大手事務所)> 

法律事務所名 60期代の比率 5年増加率
 弁護士法人御堂筋法律事務所 48.0% 41.5%
 弁護士法人大江橋法律事務所 45.0% 35.9%
 きっかわ法律事務所 31.0% 31.8%
 弁護士法人梅ヶ枝中央法律事務所 55.2% 26.1%
 弁護士法人中央総合法律事務所 55.1% 22.5%
 協和綜合法律事務所 51.7% 16.0%
 弁護士法人三宅法律事務所 39.5% 2.4%
 北浜法律事務所・外国法共同事業 55.3% -2.6%
 弁護士法人淀屋橋・山上合同 44.6% -8.2%

<図表19 法律事務所成長率と若手弁護士割合の相関関係(外資系事務所)>

法律事務所名 60期代の比率 5年増加率
 スクワイヤ外国法共同事業法律事務所 12.9% 34.8%
 伊藤見富法律事務所 26.0% -1.3%
 ベーカー&マッケンジー法律事務所外国法共同事業 40.6% -4.3%
 外国法共同事業法律事務所リンクレーターズ 56.7% -14.3%
 クリフォードチャンス法律事務所外国法共同事業 60.0% -20.5%
 外国法共同事業・ジョーンズ・デイ法律事務所 41.3% -23.3%
 ホワイト&ケース法律事務所 31.7% -33.9%

<図表20 法律事務所成長率と若手弁護士割合の相関関係(新興系事務所)> 

法律事務所名 60期代の比率 5年増加率
 弁護士法人ベリーベスト法律事務所 91.5% 302.9%
 弁護士法人法律事務所オーセンス 85.3% 240.0%
 弁護士法人ALG&Associates 88.3% 150.0%
 弁護士法人アディーレ法律事務所 98.4% 146.8%
 弁護士法人心 97.7% 144.4%
 早稲田リーガルコモンズ法律事務所 93.3% 57.9%

<図表21 法律事務所成長率と若手弁護士割合の相関関係(準大手・中堅事務所)>

法律事務所名 60期代の比率 5年増加率
 弁護士法人朝日中央綜合法律事務所 92.3% 173.7%
 虎ノ門法律経済事務所 74.7% 139.4%
 島田法律事務所 48.6% 84.2%
 弁護士法人愛知総合法律事務所 81.3% 52.4%
 岩田合同法律事務所 58.2% 52.3%
 渥美坂井法律事務所・外国法共同事業 43.6% 27.9%
 あさひ法律事務所 44.7% 26.7%
 シティユーワ法律事務所 48.9% 21.9%
 虎門中央法律事務所 56.8% 19.4%
 桃尾・松尾・難波法律事務所 42.1% 18.8%
 鳥飼総合法律事務所 70.0% 13.6%
 阿部・井窪・片山法律事務所 29.3% 10.8%
 東京丸の内法律事務所 33.3% 5.0%
 田辺総合法律事務所 24.4% 4.7%
 名古屋第一法律事務所 43.3% 3.4%
 東京法律事務所 25.8% 3.3%
 奧野総合法律事務所・外国法共同事業 47.4% 2.7%
 牛島総合法律事務所 45.8% 2.1%
 光和総合法律事務所 30.8% 0.0%
 真和総合法律事務所 27.6% 0.0%
 さくら共同法律事務所 40.6% -3.0%
 弁護士法人瓜生・糸賀法律事務所 41.2% -12.8%
 隼あすか法律事務所 42.1% -13.6%

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