2018年5大事務所のパートナートラック -1-

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~法曹人口増加時代の5大事務所の組織の変化~

ジュリナビは、これまで日本の主要企業を代理する5大事務所の組織構造をパートナーとアソシエイトの人員構成などを視点として調査し、分析しようとしてきました。

米国では、大手法律事務所の情報開示が80年代より進み、業績や収益性などの情報までも入手できます。もっとも米国でもそれまではこうした情報開示に消極的でしたが、リーガルサービス利用者を含め様々なステークホルダーからの圧力でここまで情報開示を受け入れるようになりました。

一方、わが国のリーガルマーケットは世界の主要国と比較し極めて閉鎖的であり、法律事務所の情報開示は質量とも法律サービスの利用者にとって満足のいくものでありません。特に、現在リーガルマーケットで主な業務領域のひとつである企業取引を取り扱う法律事務所の情報は、米国と比べ大きく見劣りし、不足しています。こうした状態は、わが国のリーガルサービス利用者にとり不利益なことです。

そこで、法律事務所の中で企業取引を主に取り扱っており、かつ、その情報が比較的公になっている5大事務所の公に入手できる情報を収集し、分析してみることとしました。5大事務所の分析を通して、これらに準ずる規模の法律事務所や企業取引に関するリーガルマーケットについても動向が推測できるようになります。

一般的に法律事務所について公の情報は、自己宣伝であったり提灯記事的なものであったりして、そこから客観的に国内のリーガルマーケットを理解することは難しく、また、公になっている限られた情報で実態を解明するには程遠いものですが、様々な視点をもって情報分析をすることでリーガルサービス利用者にリーガルマーケットについての見方を提示できるのではないかと考えています。

5大事務所の組織構造は、司法制度改革に伴う法曹人口増加をひとつの契機として大きく変化してきてきたと考えられます。それまでの国内の法曹人材供給レベルでは、主要企業の法的ニーズに応じるための国際レベルの専門化、分業化の進んだ組織体制を作ることは、中々難しいものでした。

法科大学院制度を通じた法曹人口増加へと舵が切られた直後、世界的にリーガルマーケットの縮小を生んだリーマンショックがありました。しかし、世界経済の回復後、5大事務所は毎年積極的に若手弁護士を多数採用しながら着実に組織を拡大してきました。5大事務所の期別人員構成をみると法曹人口増加時代の法科大学院を主な供給源とする若手弁護士が5大事務所の業務を支えていることがわかります。

こうした5大事務所の組織拡大を支えた背景には、国内の主要企業において企業法務ニーズが増加し続けてきていることがあります。法曹人口増加に舵が切られて以降、国内の組織内弁護士の数は約20倍近くに増加(2018年には組織内弁護士数は2,200名を超えた)してきており、更にその数が増加する勢いをみせています。

その多くは、法律事務所から転職してきた60期以降の若手弁護士で占められており、経験値の高い弁護士が組織内弁護士になることで、今後、従来の企業法務と外部法律事務所(5大事務所も含め)との力関係に影響がでることになるのではないでしょうか。

今後4週に渡り、5大事務所の弁護士の所属状況について取りまとめた結果をご紹介して参ります。第1回目となる今回は「所属弁護士数の推移」「拠点別の所属状況」についてご紹介しますので、ご一読ください。

コンテンツ

-1- 所属弁護士数の推移、国内・海外展開
-2- 新任パートナー情報、レバレッジ・レシオ(7/30~掲載予定)
-3- パートナー弁護士の属性、留学情報(8/6~掲載予定)
-4- アソシエイト弁護士の属性、新人採用状況、予備試験合格者(8/13~掲載予定)


(※注 本報告書は、ジュリナビ運営事務局の責任において公表されているデータを合理的な解釈をして作成されたものであります。各事務所の人員構成は、変動しており、公表の時点も方法も各事務所で異なりますので、その内容につき正確性を保証するものではありません。また、ここに記載された意見や見解はジュリナビ運営事務局によるものであり、許可なくデータを引用・転載することを禁じます。)

1.5大事務所所属弁護士数推移表

5大事務所のパートナー及びアソシエイトの人数推移

5大事務所のパートナー及びアソシエイトの期別人員構成図

2.2018年5大事務所の海外・国内展開

5大事務所は長年にわたり、東京以外の地方や海外に支店を設けることをしてきませんでしたが、クライアントの事業活動のグローバル化や法律事務所間の競争の影響を受け、ようやく東京以外で業務拠点を設けるようになってきました。

しかし、2018年秋に西村あさひがニューヨーク事務所の開設を公表したものの、2018年6月時点の調査では、2017年比で5大事務所の海外拠点展開はいずれも頭打ちになっています。クライアントのニーズに応えるべく各事務所が一斉に打って出たため5大事務所間の競争もあり、海外業務展開の定着には相当の時間と労力を要するように思われます。

今後、5大事務所が、ローカルプレーヤーから脱却し、他の国際的Big Lawと競争していくためには現地法律事務所の買収や国際的法律事務所との提携や合併も有力な選択肢となってくるでしょう。

5大事務所の拠点別所属弁護士割合

(※外国法事務弁護士、外国弁護士含む)

5大事務所の海外拠点別所属弁護士人数

(※外国法事務弁護士、外国弁護士含む)

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  1. 本調査は、2018年6月時点の日本弁護士連合会等の公表データをもとに作成しています。
  2. 本調査はできるだけ正確性を保つよう合理的な努力をしましたが、所属弁護士数は日々変動し、かつ異動情報がタイムリーに日本弁護士連合会に提供されるとは限らないため、調査結果についてジュリナビとして完全性、正確性を保証するものではありません。
  3. 本調査に記載されたコメントはジュリナビ自身の見解であり、法科大学院協会や各法科大学院の見解とは一切関係はありません。
  4. 本調査に記載された調査、編集、分析された内容についてその一部又は全部につきジュリナビに無断で転載、掲載することを禁止します。
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