2019年5大事務所のパートナートラック -1-

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~法曹人口供給抑制下で成長を続ける5大事務所~

ジュリナビは、多くの日本の主要企業を代理する5大事務所の組織構造をパートナーとアソシエイトの人員構成などを視点として調査し、分析、公表してきました。

特に、5大事務所の経営弁護士・パートナーにどのように若手弁護士が組織内で昇進していくのか、すなわち、パートナー・トラックは、弁護士志望のロー生ばかりでなく5大事務所を利用する企業クライアントにとっても、その他リーガルマーケット関係者にとっても知っておきたいことです。

リーマンショックによる世界的景気低迷によるリーガルサービスの需要減による一時的な落ち込みはあったものの5大事務所は、その後、組織を拡大し続けています。世界の大手国際法律事務所は、この間、成長の乏しい日本には人的資源を投下することもなく、中国やアジアへ重点を移し、おかげで5大事務所は、彼らからの競争に晒されることなく、また、準大手からの脅威も少なく、国内マーケットで寡占的、安定的な地位を占めるようになってきています。

70期以降、司法修習終了者が1,500名台になって以降も5大事務所の新人弁護士採用意欲は衰えていません。このため71期東京三会の登録弁護士数の26.1%、つまり4人に1人が5大事務所に就職したことになります。わが国が法曹人口増加に舵を切って以来、5大事務所は若手人材を活用することで業務拡大をしてきました。一方で、司法修習終了者1,500名台になってから新人弁護士の企業法務への供給は頭打ちになりつつあります。また、地方単位会では新人弁護士登録がないところも増えています。

この5大事務所によるリーガルマーケットの寡占状態の進行が果たしてリーガルサービスの需要者にとり良いことなのか、わが国の狭小なリーガルマーケットでの利益相反の機会増大の観点や弁護士業の2極化の観点からも、法曹人口供給抑制は再検討されるべき時期に来ているように思われます。

今後4週に渡り、5大事務所の弁護士の所属状況について取りまとめた結果をご紹介して参ります。第1回目となる今回は「所属弁護士数の推移」「拠点別の所属状況」についてご紹介しますので、ご一読ください。

コンテンツ

-1- 所属弁護士数の推移、国内・海外展開
-2- 新任パートナー情報、レバレッジ・レシオ(7/31~掲載予定)
-3- パートナー弁護士の属性、留学情報(8/7~掲載予定)
-4- アソシエイト弁護士の属性、新人採用状況、予備試験合格者(8/14~掲載予定)


(※注 本報告書は、ジュリナビ運営事務局の責任において公表されているデータを合理的な解釈をして作成されたものであります。各事務所の人員構成は、変動しており、公表の時点も方法も各事務所で異なりますので、その内容につき正確性を保証するものではありません。また、ここに記載された意見や見解はジュリナビ運営事務局によるものであり、許可なくデータを引用・転載することを禁じます。)

1.5大事務所所属弁護士数推移表

5大事務所のパートナー及びアソシエイトの人数推移

5大事務所のいずれも60期以降の若手が各期ともそれ以前の期の弁護士数を上回るピラミッド型の人員構成となっており、わが国社会の高齢化とは真逆の人員構成です。この意味では、これら若手弁護士が組織の中心になった場合に、5大事務所そのものも大きく変化する可能性を秘めているとも言えます。

5大事務所のパートナー及びアソシエイトの期別人員構成図

2.2019年5大事務所の海外・国内展開

5大事務所は、国内では寡占的地位を占めているものの、国際リーガルマーケットの中では国際展開が大いに遅れており、その事務所規模においてアジアのリーガルマーケットでも英米系の事務所ばかりでなく、中国、豪州などの法律事務所にも劣後しています。2019年6月時点の調査では、2018年比で5大事務所の海外拠点展開はいずれも頭打ちになっていて海外事業展開には時間のかかることがわかります。

5大事務所の中では森・濱田松本が、今の時点では自前の組織をアジア中心に拡大することでローカルプラクティスにも力を入れ積極的に国際展開を進めているようです。一方、TMI総合は、欧米系の海外法律事務所と外国法共同事業を進めながら国際競争力を高める方向をとっていてアプローチの仕方に違いがあります。

米中貿易摩擦が過激化し企業環境が急速に変化する中、これまでグローバル化一辺倒で進めてきたわが国企業は国際事業の再編や展開、より複雑で多数法域管轄にまたがる法的ニーズが増大する可能性が高まってきています。こうした海外進出企業からのリーガルサービス需要に5大事務所が応えられるようになるには、現在のレベル以上に更なる事務所拠点の国際展開と人員の充実が求められるようになるでしょう。

その場合には、海外大手法律事務所との提携も視野に入れなければならないでしょう。一方で、国際的リーガルサービス需要者たる企業も5大事務所や他の国際的大手法律事務所の特性や法務予算の効率的利用を勘案した法律事務所起用をするノウハウを蓄積しなければならなくなるでしょう。

5大事務所の拠点別所属弁護士割合

(※外国法事務弁護士、外国弁護士含む)

5大事務所の海外拠点別所属弁護士人数

(※外国法事務弁護士、外国弁護士含む)

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  1. 本調査は、2019年6月時点の日本弁護士連合会等の公表データをもとに作成しています。
  2. 本調査はできるだけ正確性を保つよう合理的な努力をしましたが、所属弁護士数は日々変動し、かつ異動情報がタイムリーに日本弁護士連合会に提供されるとは限らないため、調査結果についてジュリナビとして完全性、正確性を保証するものではありません。
  3. 本調査に記載されたコメントはジュリナビ自身の見解であり、法科大学院協会や各法科大学院の見解とは一切関係はありません。
  4. 本調査に記載された調査、編集、分析された内容についてその一部又は全部につきジュリナビに無断で転載、掲載することを禁止します。
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