米国ロースクール留学について -3-

U.S.-LawSchool
5大事務所弁護士の米国ロースクール留学事情

前述のように、法律事務所、企業、官公庁などから多数の若い人材が米国ロースクールに派遣されていますが、特に企業や官公庁などの留学に関するデータは個別組織に留まって外部に公開されません。また、各ロースクールLL.M.の卒業者名簿も開示が難しいものです。このためわが国の修了生や実務家法曹の米国ロースクール留学の全体像を見ることは残念ながらできません。

そこで、こうした米国を含め海外ロースクール留学情報が公にされていて、且つ、毎年、相当数の留学生を派遣している5大事務所所属弁護士の米国ロースクールへの留学データが参考になります。

5大事務所の業務の中核は、渉外関係も含め企業取引関係の法律業務であり、国際的にビジネスを展開する多くの国内外の大手企業が依頼人となっています。そのため、5大事務所は、クライアントのニーズに応えるべく継続的な海外ロースクールへの派遣により人材育成を図っています。以下のデータからは、5大事務所弁護士の留学先ロースクールの傾向や帰国後の組織内での処遇などが見えてきます。

5大事務所の海外留学者数割合(全役職)

5大各事務所パートナーの海外留学割合

それぞれの事務所で差はあるものの、5大事務所のパートナーの大多数は海外留学経験者です。特に、長嶋・大野・常松ではその割合は9割を超えています。このことから5大事務所でパートナーになるためには海外留学経験の有無は重要なファクターのひとつと言えるでしょう。

また、パートナーになる前に実務経験数年を積んだ若手弁護士が海外留学に派遣されることも多いです。このため5大事務所のパートナー予備軍のアソシエイトの多数が留学経験を持っています。

5大事務所の海外留学者数割合(パートナー)

5大事務所の海外留学者数割合(アソシエイト)

5大事務所の海外留学者数割合(役職別比較)

5大事務所からの留学先米国主要ロースクールランキング

それでは、5大事務所の弁護士は、具体的にどこの米国ロースクールに留学しているのでしょうか?
調べてみると圧倒的に多いのが、コロンビア大学、ハーバード大学、ニューヨーク大学です。この他のロースクールもいわゆる「T-14」と呼ばれるような一流ロースクールへの派遣が多いことが目につきます。もちろん、このほかの米国ロースクール留学や米国以外のロースクールへの留学にいく弁護士も多数います。

主要ロースクール別人数(パートナー+アソシエイト)

主要ロースクール別人数(パートナー)

主要ロースクール別人数(アソシエイト)

5大事務所パートナー及びアソシエイトの修習期別海外留学者数

法科大学院制度のもと多数の若手弁護士が5大事務所に所属していますが、今回の調査で、こうした60期以降の若手が多数海外留学を経験して、人材の中核(現在のパートナー人材及び将来のパートナー候補)になっていることがわかります。これまでと比べその数は増加しており、5大事務所の将来の業務展開に欠かせない人材層となっていくことが見込まれます。

修習期別人数(パートナー+アソシエイト)

修習期別人数(役職別)

先述の5大事務所とは別として、これまで日本人実務家の留学生を比較的多数受け入れてきた主なロースクールとして、T-14に含まれるロースクールの他、Washington University in St. Louis, University of Washington, University of Southern California, George Washington University, University of Wisconsin-Madison等も挙げられます。

いずれのロースクールもホームページが非常に充実していますので、LL.M. プログラムに限らず、ロースクール全体のカリキュラムや教授陣を調べること(将来の自身の実務のためにはLL.M.プログラムに含まれる科目以外にも独禁法、証券取引法、知財法、環境法など米国ロースクール生が2年次、3年次に取得するような専門科目も取得すると良いでしょう)、大学の環境や近隣住環境(特に、家族帯同の場合には治安や教育環境などは重要なポイントとなります)、学費条件など総合的に各ロースクールを比較検討することが大切です。

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  1. 本記事は、2017年4月1日時点の情報をもとに作成しています。
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