米国ロースクール留学について -5-

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州(例:ニューヨーク州)の司法試験(Bar Examination)受験について

LL.M.を終え必要な要件を満たせば、ニューヨーク州やカリフォルニア州で州の司法試験(Bar Examination)を受験できることになります。多くの日本人のLL.M.修了生は、勉学の成果の確認のためにも受験します。通常の日本人の留学生は1年間で受験まで終えなければなりませんので、春学期が終わってもゆっくりしている暇はありません。

ここでは、日本人の米国ロースクール留学生が最も多く受験するニューヨーク州の司法試験(Bar Examination)について説明します。

ニューヨーク州は、司法試験(bar examination)が7月と2月の2回あり、通常ロースクール卒業生は卒業後の夏7月に受験し実務を始めます。Bar Examination自体は、事実上資格試験であり、第一回の試験で約75%は合格しますし、上位校卒業生であればほぼ全員が合格します。ニューヨーク州の司法試験は、Uniform Bar Examination(UBE)と呼ばれ、the Multistate Bar Examination (MBE), The Multistate Performance Test (MPT) 及びthe Multistate Essay Examination (MEE)からなります。

更に、ニューヨーク州法に関する試験年に4回行われるthe New York Law Exam (NYLE)と年に3回行われるthe Multistate Professional Responsibility Examination (MPRE)に合格しなければなりません。またLL.M.資格での受験生にも2018年以降、Skill Competency Requirementが課せられることになります。

いずれにせよ受験資格や手続については、変更の可能性がありますのでロースクール在学中にそれぞれ確認されると思いますので詳述はしませんが、ニューヨーク州の規則は、以下のサイトをご覧ください。特に、外国人LL.M.取得者の受験資格には、以下に述べるプロボノワークの要件と共に注意が必要です。

The New York State Board of Law Examiners

50時間のプロボノワークの要件

最近、ニューヨーク州の制度が変わり、ニューヨーク州の弁護士資格取得には、50時間のプロボノワークをしていることが求められます。(§ 520.16 Pro Bono Requirement for Bar Admission)

この要件は、外国人LL.M.修了生にとりニューヨーク州で法曹資格を得るのにこれまでより負担が増えることになります。プロボノ要件を満たすためロースクールが支援してくれることがあるようで、詳細については、所属しているロースクールのadministration officeに相談すると良いでしょう。New York州の詳細な条件については以下を参照してください。

Pro Bono Bar Admission Requirements

Bar Examinationの合格率

ちなみにニューヨーク州の司法試験の過去の合格率は以下の通りです。外国資格で受験するものの合格率は低いですが、日本人は筆記試験慣れしているので、実証したことはありませんが、この合格率より相当高いと思います(有名ロースクールのLL.M.卒業生は一回受験で殆どが合格します)。

NYS Bar Exam Statistics

受験予備校

Bar Examination受験前には通常米国のロースクール生は、試験予備校のプログラムを2か月程度受け、受験準備をします。こうした試験予備校のコースは、短期間に徹底的に受験テクニックを教えてくれるので合格に直結します。日本人留学生も、ある程度の英語力があり、こうした受験予備校のコースを履修すれば合格レベルに到達することが十分可能です。

試験予備校は複数ありますが以下2つの予備校の講座が割に有名で学生の利用が多いようです。以下の2つが比較的有名です。

KAPLAN
BAR BRI

ちなみに、前述の司法試験予備校の大手BARBRIというところが親切にも外国資格で受験するLL.M.生のためにニューヨーク州の司法試験の内容とか手続きにつきビデオでわかりやすく解説しており、また、最新の情報でもあり、全般の情報入手に役に立つでしょう。

ところで、注意しなければならないのは、米国では実務経験の伴わない法曹資格は全く評価されないことです。米国ではBar Examinationに合格し法曹資格を取得した後にわが国のような司法修習はなく、職についてその中で法曹としての実務能力を身に着けていくことになります。

米国で法曹資格を取得しても必ずしも職は保証されません。米国のロースクール卒業生の就職活動では、どこのロースクールをどの位の成績で卒業したかが重視され、初任給にも反映され、また、将来にはその蓄積された職歴が評価されるのです。また、将来価値があるのは、米国ロースクール留学中に、現地で生活し、法制度やリーガルマーケットも含め米国社会を理解すること、同窓のロースクール生や教授たちとの交流や留学生間のネットワーク形成などです。

Bar Exam受験後のローファーム等での実務研修について

多くの法律事務所や企業派遣の日本人の米国ロースクール留学生は、ロースクールを修了し、Bar Examination受験後、派遣元の関係先の大手法律事務所などで半年から1年間、実務研修を受けています。どこで実務研修を受けたかは履歴書に書かれるので、できるだけ有名な現地の事務所で研修を積むようにしたらいいでしょう。

しかし、日本人LL.M.修了生が独力で他のアメリカ人と競争して現地の法律事務所に正式に採用される、あるいは、ロースクール卒業後のトレイニー採用において実力で一流法律事務所からオファーを勝ち取るのは容易でなく、相当な努力と困難を伴います。

特に、最近は日本関連業務がブームだったころと比べ米国の大手法律事務所では日本人弁護士に対するニーズが減ってきており、バブル期のように報酬ももらえて研修を受けられるような魅力的なポジションを探すのが大変であるようです。

中国、韓国、インド、中南米などからのロースクール留学生は、留学や研修後ほとんどが帰国する日本人留学生と異なり、本国に帰らず米国で就職し、骨を埋め弁護士として勝負するケースも多いようです。しかし、グローバル化が進む中、将来、日本人留学生の中でも現地に残り活躍する人も増えてくるのではないかと思います。

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  1. 本記事は、2017年4月1日時点の情報をもとに作成しています。
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