米国ロースクール卒業生の就職事情

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米国ロースクール2007年度卒業生の就職状況について、The National Association for Law Placement (“NALP”)からデータ(American Bar Associationの全米法曹協会公認の186校の2007年度ロースクール卒業生40,416名が対象)公表があった。年度後半からサブプライム問題で景気が減速したがそれまでの好況に支えられて就職率は、過去20年間で最高の92%に達したとのことである。NALPのデータによれば55.5%の卒業生が弁護士事務所に就職し、ビジネスには14.1%、ロークラーク(米国では成績優秀な卒業生が就く)、政府機関、公益団体などの公共部門に27.3%が就職した。米国の州ごとの司法試験制度と我が国の司法試験制度は異なるが、就職にあたり採用側から州の司法試験合格を要求される場合が76.9%、司法試験合格は要求されなくてもロースクール卒業資格が要求される場合が7.7%であった。なお、米国の弁護士の職種間の流動性は高く、弁護士事務所からビジネスへ、政府機関から弁護士事務所やビジネスへ、あるいは、その反対方向への移動も珍しくなく、キャリアとして最初の選択が一生続くとは限らないことに注意しなければならない。

それでは、ロースクール卒業生の初任給はどうなっているのであろうか。同じく、NALPのサーベイによれば弁護士501人以上の弁護士事務所の2007年の初任給の平均は145,000ドルで一年前より1万ドルの増加となり、特にボストン、シカゴ、ロサンゼルス、サンフランシスコ、シリコンバレー、ワシントンDC、ニューヨークの大都市では160,000ドルを超えている。最も初任給の高いのはロースクール卒業後連邦最高所裁判官のロークラークになり、その後弁護士事務所に就職するもので、年俸初任給265,000ドル以上といわれている。もっとも米国のロースクール卒業生全てがこのような高額の初任給の職を得られるものではなく、2006年度統計によればロースクール卒業生の初任給は二極化している。すなわち、ひとつ平均分布の山は初任給45,000から55,000ドルであり、もう一つの山は135,000ドルから145,000ドルで、グラフに表せばふたこぶラクダのようである。後者が大都市圏の大規模弁護士事務所の初任給で、前者はそれ以外、特に公共部門での初任給である。こうしたロースクール卒業生の初任給の極端な2極化は2000年までには米国でも存在していなかったことが統計に表れている。但し、初任給給与レベルは米国弁護士事務所では高いものの弁護士間の競争は激しく、大規模事務所ではパートナーになるのに約7年間かかり、パートナーになれる確率は弁護士事務所にもよるが概ね7分の1である。即ち、入所後7年経過してみれば同期のアソシエイトの7人に6人は事務所を去っているということである。

弁護士間、弁護士事務所間での競争を嫌う我が国の風土ではこうした米国のような状況にはならないのかもしれない。しかし、米国では競争を通じてより質の高いリーガルサービスを提供できる弁護士事務所が生まれているのはまぎれもない事実である。NALPのデータからもわかるように一方ロースクール卒業生が、公共部門等弁護士事務所以外の社会の多様な分野に進出し、社会の様々なニーズに応えていることも事実である。例えばハーバードロースクールでは毎年9から12%の卒業生が社会的活動分野に進んでいる。民主党のバラク・オバマ米国大統領候補は、ロースクール卒業後まさにこうした経歴を辿ってきた。

(2008年2月15日現在)
出典: www.nalp.org ”2008 NALP Class of 2007 Selected Findings

(The Rainmaker)

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